未来プロジェクト


愛宕山の裾野にショー牧師が別荘を建設したことにより避暑地軽井沢は発展してきた。軽井沢銀座から徒歩30分で登れる山でありながら、頂上付近の森は開発を免れ大自然がそのまま残り、ツキノワグマ、ニホンカモシカなどの野生動物の住処にもなっている稀有なる山である。かつて森を所有していた米国人が森を売却すると聞き、緑や生態系を維持するため2016年に「愛宕山てっぺんの森を守る会」を立ち上た。

 2017年1月にNPO認証、約200名の会員を得て、2019年9月特例認定NPOになった。地主の同意を得て、植生調査(軽井沢町の補助事業)、巣箱の設置や冊子の発刊(地球環境基金助成事業)、街中広報デスクの設置、オオヤマカタバミをジャケットに使った音楽CDリリースなどを試みてきた。

 その中で、長く森の手入れが行われておらず、このまま放置すると森が衰弱することは明らかだと判断し、域内の絶滅危惧種オニヒョウタンボク生息地(約1,000㎡)保護のために、試験的に間伐・枝打ちなどの整備を行った。その結果、林床への日照が確保され、生育を促進できることが分かった。(セブン-イレブン記念財団助成事業)。未来マップを作ることを想定して、間伐枝打ち前後の定点3Dレーザー測量を行った。

 並行して、日本ナショナルトラスト協会の助成金や寄附によって約43,267㎡の森を段階的に取得した。植生調査の結果、その森は、頂上付近(Aゾーン)、別荘集落に接する下部(Cゾーン)そして両者の間(Bゾーン)ごとに森の遷移の状況が、明確に異なることが分かった。そして、環境教育の場として活用できることに気づいた。
 
 上記を背景に、思い切った初期投資をすることによって以後のランニングコストを会費や寄附収入によって賄える道筋をつけると共に、普及啓発・環境教育の場としてのモデルを示し、未来を担う人々が安心して活動できる下地を整えたいと考えている。



「未来プロジェクト」の内容
A:森の整備プロジェクト:自然保護・生物多様性保全・生態系保全
取得した愛宕山の森42,267㎡についての保護・保全・復元。
取得した森の間伐、枝打ち、シラカンバ苗床設置とシラカバ林の復元、絶滅危惧種(オニヒョウタンボクやオオヤマカタバミ)の生息範囲の拡大、原っぱの設置と野生の草花の育成を行う。
・基本的には当会が機材、消耗品、防具を会が提供し、
 当会メンバーとボランテイアが作業を行う。
・高所の枝打ち・高木の間伐はプロのきこり職人に、搬出処分は外注する。

B.環境教育・普及啓発プロジェクト:人々の環境意識高揚 
有識者を交えたプロジェクトチームを作り、森での活動を介在に、自然保護普及啓発、及び、環境教育のための資料を作るなど、理論武装すると共に発信活動を行う。
・これまでに蓄積した、植生調査、土壌動物調査、巣箱の利用状況などを整理し、
 環境教育に耐えうる資料としてまとめる
・ゾーンごとの遷移の状況を示す写真データを蓄積し、
    HPやYouTubeなどによって社会発信
・環境講演会の開催 
    テーマ:森の未来を考える 低炭素社会 空き家のエコハウス化 SDGs 環境と経済など

C.環境教育拠点化プロジェクト:次世代を担う人の育成の拠点化 
前項の環境教育、普及啓発を実施する教育センターの設置。
倉庫兼事務所として使っている建物(空き家別荘、床面積約200㎡)を環境教育に相応しいものに改装すると共に、森全体が森の遷移の博物館であることを標榜するための案内板設置し案内資料を作る。
・断熱性能増強、雨漏り対策、太陽光パネルとバッテリー設置などのエコ化工事
・見学会を開催し、空き家エコ化利活用ノウハウを、研修を兼ねて公開
・工事完了後もエコ化ノウハウを学べるように、壁・天井・床下などの
 before & afterが見えるようにし、誰もがいつでも見学できるよう計る
・「森の遷移の博物館」案内板を設置し、
  訪れる人々に森の遷移の「過去・現在・未来」を伝承

D. 協働取組プロジェクト:持続可能社会、低炭素社会創造への貢献 
環境教育等促進法に基づいて、軽井沢町や関係団体と次の中から1つの「環境協働取組み協定」を締結するべく、その下地を作る。
・近年問題化している空き別荘問題解決にも資する「別荘空き家エコハウス化利活用」
・生態系と調和するゴルフ場の推進
・テレワーク拠点や災害時にも活用できるオフグリッドキャビンの研究


取得した森の内17,947㎡(1339番地1)は別荘10軒に隣接し、その裏山の森をなしている。その環境を生かしてオフグリッドキャビンを作り持続可能な社会創造に貢献できる人を育成する場としても活用する。

0 件のコメント: